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2012年01月23日

ダンディズムの原点

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三代目である父が店をやっていた頃は、「エビスヤ」という屋号でした。僕が10歳の時に店兼自宅を建て直し、店名は「ダンディエビスヤ」と変えてリニューアルしました。そういえばマークもありました。エビスヤのEをもじって海老っぽいマーク。店はゴージャスでした。フロント全面がウインドーでエントランスは大きな吹き抜けになっていました。70年代のヨーロピアン的近未来感覚の空間でした。当時は全国にそんなメンズショップが多かったようです。ウインドーには、スーツ・ジャケットを着たマネキンがズラっと並んでいました。店の奥はスーツコーナーで、ソファが置かれアランドロンの大きなパネルがあったのが印象に残っています。その頃アランドロンは、日本では海外№1スターで、スーツメーカー「ダーバン」のイメージキャラクターでした。当時は今のように郊外・ロードサイドにはスーパー・家電店・大型書店、そして紳士服の量販店もなく、街は賑わっていました。高度成長期、紳士服店も黄金時代でした。
そんな家に生まれ育った僕を、友達は不思議そうに見ていました。「お前ンち遊びに行く時、どっから入ったらいいがよ。」「店に入って呼んでくれれば出てくるよ。」「そんなんなんか恥ずかしいじゃぁ。」
中学の頃は、うちの店のテレビコマーシャルをやってました。どんな内容だったかと言うと…。
一人のスーツ姿のビジネスマンがビルの間を全速力で駆け抜けていく。そしてナレーションが流れる。「な~んてな男になってみよう!ダンディエビスヤ」アラっ!衝撃的なラスト?出来る男のスーツスタイルを表現したかったのか、ダサ恰好イイ??
学校ではちょっとした話題になり、ダンディ、ダンディと言われていました。恥ずかしかったですよ。誰がつけたかは聞いていませんが、「ダンディエビスヤ」。語呂が良かったのかな。ジェントルマンエビスヤだとちょっと言いにくいですもんね。とにかくダンディですから、スーツ・ジャケット中心のスタイルという事ですよ。
それから10数年経ち、僕はレディスショップで修業し富山に戻ってきました。その時に父が言った言葉を今でも覚えています。「メンズは厳しいから、お前がやっていたレディスに変えろよ。」父は思い切って言ったんでしょうけど、心の奥にはメンズを続けて欲しいという望みもあったんだと思う。「メンズはとりあえず続けるけど、俺の好きな様にやらせてくれよ。」と答えたと思う。
そして、メンズショップを20年あまりやっています。父から店を受け継いだのは事実ですが、当然ダンディエビスヤを受け継いだつもりはありません。僕なりにない頭を絞ってコンセプトを考えたり、新しいスタイルに挑戦してきました。失敗した事も数知れずです。
ただ父から受け継いだものが一つあります。「ダンディ」「ダンディズム」です。ジャケット・スーツスタイルを主役にした大人のお洒落、こだわり。僕が若い時からスーツ・ジャケットが好きで格好良いと思い続けていること。それは自然なことなのか。それは、もしかしてその根底には小さい頃から見てないようで見ていた親のダンディズムの精神が脳に焼き付いていたのかもしれない。今の店と同じようにぎっちりつまったスーツコーナーで遊びながら、スーツを試着するお客様の姿を目に焼き付けていたのかもしれない。無意識にエビスヤのダンディズムを受け継いでいたのかな。
まぁどうであれスーツ屋アルバーノのダンディズムの火はこれからも灯し続けます。20年以上経つし、そろそろ全面リニューアルしたいな。新しい事がしたいなぁ。その時はアルバーノのキャッチフレーズとトレードマーク考えなくちゃ。ダンディアルバーノは無いけれど、予算に余裕があればコマーシャル?40年前のコマーシャルをリメイクしますか?ボリオリのスーツ着てオフィス街を駆け抜ける。体力には自信ありますよ。「な~んてな男になってみよう。○○アルバーノ。」意外と新鮮?新しいかもね。

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