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2014年08月10日

今だから語ろう、ボリオリについて

前からブログをお読みの方は、最近ボリオリの記事が減ったとお感じでしょう。
実際扱い量もかなり減らしました。その理由は?まぁ読んでみて下さい。
今頃書くのはちょっと遅いかもしれません。僕自身あえてこの事には触れないようにしてきました。
長い歴史を持つボリオリ一族が、ボリオリを売却したことは皆さんも御存知でしょう。新しくアメリカのファンドが経営に入って数年経ちます。
そして、この秋ボリオリ一族の旧社長マリオとクリエイティブ担当のピエルイジが「GIGI」というブランドをスタートさせました。
過去のボリオリのマスターピースを生み出し、ボリオリというブランドを世界に知らしめ、大袈裟ではなく男の服の概念をくつがえしたとも言える、ジジの功績は偉大なものがあると思います。
僕もその情報が入った時は心が踊りました。ただ、今回のスタートに関しては代理店さんから声がかかりませんでした。正直残念で淋しい想いもあります。
GIGIの話題性は雑誌等で見られた方も多いと思います。男服ってつくづく繊細で複雑で奥が深いものだなぁと感じます。
デザイナーがいる。そしてそれを形にするプロダクト集団(職人、ファクトリー)がある。その融合によって生み出される作品。その掛け合わせ方によって、洋服は様々な化学反応をおこします。
日本ではデザインする側が圧倒的に強いですが、職人の国イタリアでは職人の権限は同等か、それ以上です。
GIGIの話に戻りますが、GIGIは過去(ボリオリ)を捨て、新しいスタイルにチャレンジしているようです。そこにボリオリという職人集団は関わりません。
ボリオリなきGIGI。GIGIなきボリオリ。それぞれがどんな相棒を見つけ、どんな化学反応を生まれていくのでしょう。面白いなぁ。
僕が長年ボリオリ一本にこだわってきたのは、ジジのセンスに惚れ込んでいたからです。GIGIなき今のボリオリ。僕はここ数年静かに見守ってきました。
僕にはジジと同じくらい強く愛するものがあります。それは、ボリオリが培ってきたファクトリーという100年の歴史と伝統から生み出される技術力であり、精神であります。
それはかけがえのない財産だと思うんです。それを今のボリオリがパワーアップして引き継いで欲しいと願います。
最近ボリオリはミラノに1号店を出したようです。ボリオリワールドを広げていく計画でしょう。
新しいデザイナーを見つけ、新しいことに挑戦していくことは大切なことです。
いろいろとボリオリにも考えがあると思います。
ただ、僕は今まで築き上げてきたボリオリのスタイル、精神を忘れないで欲しいんです。安直にブランドとして走って欲しくない。(古いのかなぁ。)
ボリオリがここまできたアイデンティティと言える、ジジが残したDOVER・COAT・Kジャケットをしっかりと継承して欲しい。永遠のスタンダードとして。
勿論、今も僕の心の中にはこの名作達がしっかりと焼きついています。
ボリオリ1本でやってきました。対抗馬のLをやらなかったのも自分自身の信念とボリオリへの敬意であります。
今のボリオリは、はっきり言って高くなっています。ジャケットはまだしも問題はスーツです。スタートプライス13万はね…。僕の目線から少しズレ出しています。
どんなに好きでもそんなに沢山扱えないですよ。それが当店のスタイルだから。
好き勝手に自分の想いを書いてきました。
くどいようですが、ボリオリのプロダクトするものがボリオリなんです。
そこから生み出されるモノが、理想のプライスで売られることを願います。

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