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2011年07月15日

スーツ屋アルバーノの独り言

今週水曜日ボリオリコレクションを見に大阪へ行ってきました。前にブログに書いた様にプレコレクションでジャケットはある程度おさえてあります。
定番となりつつあるKジャケット、COAT、DOVERのベーシック素材、新しい素材、カラーの提案。非常にバリエーションに富んだジャケットのコレクションは見応えがありセレクトする楽しさがあります。
そんな訳で今回はスーツのオーダーをと意気込んで展示会場に乗り込むも、まず目に飛び込んできたのは本コレクションで初登場のサファリKジャケット、久し振りのM65のガーメントダイ、コットンサテンを洗いこんだ魅力的なCOAT等。やはりジャケットに目が釘付けです。あれも良い。これも良い。誘惑の声に耳をおさえつつ、今日はスーツを選びに来たんだぞ。と言い聞かせて冷静に落ち着いて、担当者に「スーツの生地を見せて下さい。」と一言。
クラシックスーツコーナーは奥の一角に地味にただずんでおります。淋しそうにただずんでいても、長年スーツ屋として営業しているアルバーノの看板スーツです。「ボリオリクラシック」の正統派?ファンの方々の為に意識を集中して生地をセレクト。30代の方々に人気がある革新的アンコンドーヴァースーツの台頭もあり、モデル選びは非常に難しい。悩む。ただ今春のドーヴァー(SOHO)スーツはかなり細かった!あのサイジングは着る人を選ぶと感じた。先週秋冬ドーヴァースーツが入荷し、サイズチェックをした。少しゆとりがあり、これなら幅広い層の方々に着てもらえると確信した。ちょっと安心。
ドーヴァースーツの軽く流れるようなスタイリッシュさは、今までのスーツの概念をくつがえす、革新的でありボリオリにしか作れない傑作だと感動したが、今春の商品の細さはモード感が頭一つ飛び出していた。モードとクラシックの良い意味でのどっちつかずのボリオリのポジションが失われていくのではないか?と心配した。ドーヴァースーツはこの秋冬物のようなサイジングでジャケット共に真の定番と育って欲しい。基本的なクラシックモデルのFとHの格好良さは今更話すまでもありません。やはり格好良いです。結局スーツ屋としてバランス良く仕入れる事としました。
世の中男のファッションは、ジャケットが主導権を握り魅力的な選択肢が増えた。ジャケットの楽しさ、奥深さを満喫し同時にパンツも楽しむ。靴・バッグ・時計の多様性。昔からみれば日本のファッションは格段にレベルが上がっている。いい時代だ。大人の男のファッションが確立してきたように感じる。ようやく日本の大人、オヤジが本当の意味でお洒落に目覚めてきたのだ。ただ一つ気になっているのは、スーツだ。楽しんでいるだろうか?仕事服だとしか見てはいないだろうか?ジャケットにはないスーツのフォーマル性、着まわし力を楽しんで欲しいと思う。男の色気、フェロモン(女性をひきつける様な)を表現できる一番のアイテムだと信じている。
皆がこのアイテムを自分流に楽しく着まわせるようになれば、日本の男のファッションはさらに進歩、充実したものになると信じたい。

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